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「小さなひしゃく」亭・ロビー

三月やよい個人創作漫画サークルのブログ。 漫画からイラストから、園芸から料理やなんかまで、無軌道な創作の記録(汗)。

4つの「ローマ帽子」

雨で寒くて手が動かない。そうでなくても原稿進まないのに。





上段・←創元推理文庫「ローマ帽子の謎」(1960年初版、69年16版。井上勇・訳。ちなみに表紙は真鍋博)
    →早川ミステリ文庫「ローマ帽子の秘密」(昭和57年、宇野利泰・訳)
下段・←創元推理文庫「ローマ帽子の謎」(2011年、中村有希・訳)
    →角川文庫「ローマ帽子の秘密」(平成24年、越前敏弥・青木創・訳)

え? なんでこんなにローマばっかり買ってるかって?
ここの部長さんかっこいいんですよ(!?)。国名シリーズでの寡黙でおちゃらけ発言少な目、ランプの精と言われても納得しそうなくらいのクイーン警視への忠誠具合。これはこれで素晴らしいのであります。
原書ないから、訳の違いでワクテカするしかない、という事情も無きにしも非ず(苦笑)。
にしても、似た時期に別会社で国名シリーズ新訳出し始めるのってどうなのという気がしないでも…あ、いや、なんでもないです。

昔の創元推理文庫がムチャムチャ古い(さすがに私生まれてないよ…)のは、この本がもともと父の蔵書だからです。
それでも「ローマ劇場毒殺事件」(昔の角川文庫で出してたもの)までは持ってないんだから、自分まだ全然オタクじゃないよね(え?

出たばかりの角川版、レジに持ってくのが恥ずかしくてどうにもこうにも。おばちゃんほんとまいった。
それはそれとして、写真だとわかりにくいんですが、ちゃんと鼻眼鏡しててデコが広めなんですよ。映像として、なかなかいいエラリー。国名シリーズ全表紙見てみたいねえと思う。
中身は…まだほとんど読んでないんだけど、どうかな。

で、取り急ぎ、好きな箇所を比較してみようかなと思い立った。
時間もないことだし、わかりやすそうな箇所を一つだけ引用させていただきました。

創元推理文庫(古い方)-創元旧
早川ミステリ文庫-早川
創元推理文庫(新しい方)-創元新
角川文庫-角川
で書いてます。参考文庫の発行年などは冒頭の記述参照のこと。
棒線引き方がわからないので「-------」で代用してますごめんなさい。



というわけで、エラリー(早川はエラリイ)初登場のセリフをどうぞ。

  • 「じつをいうと」とエラリー・クイーンは、目をたえまなく、あたりにきょろつかせながらいった。「ぼくのほうは、おせじをおかえしするどころじゃありませんよ。あなたのおかげで、ぼくは愛書家の無上の天国からひきずりおろされたんですからね。も少しで、本屋のあるじから、金では買えないファルコナーの初版本を譲らせるところで、本部に行って、あなたに金を借りるつもりだったんです。それで電話をかけたんです。------そういうわけで、ここに来たわけですよ。ファルコナー------まあよい。あしたでもよいでしょう」
(創元旧・p33)
 
  • 「迷惑しなかったといえば、嘘になります」エラリイ・クイーンは、視線を休みなく周囲に走らせながら、正直な返事をした。「おかげでぼくは、愛書家の天国を見捨てて来ました。さっきは、貴重なフォーコナー(ウィリアム・フォーコナー。一七三二~六九.スコットランドの詩人)の初版本を見出して、店主と値段の交渉を始めていたのですが、不足の金額を寸借したくて、警察本部へ電話したところ、この事件の話を聞かされたのです。フォーコナーの初版本は------いや、あれは明日のことにしても、間に合うでしょうが……」
(早川・p42)
 
  • 「正直に言えば」エラリー・クイーンは休みなく視線を動かしながら答えた。「ぼくの方は、素直に同じ言葉を返せませんよ。愛書家の至上の天国から引きずりおろされたんですから。あの本屋相手に粘りに粘って、本当なら値段なんかつけられないファルコナーの初版本を、ようやく売ってもらえそうになって、よし、これはお父さんに金を貸してもらおうじゃないか、と、はりきって本部に電話をかけたら------いま、ぼくはここにいるというわけだ。ああ、ファルコナー-------まあ、いいです。明日でも大丈夫でしょう。たぶん」
(創元新・p44)
 
  • 「正直に言うと」エラリー・クイーンは休みなく視線を動かしながら言った。「こっちはお愛想を返す気になれないね。愛書家の至上の楽園から急に引きずり出されたんだから。あの店主からファルコナーの貴重きわまりない初版本を売ってもらえそうになったんで、本部にいる父さんから金を借りるつもりだったんだ。で、電話をして------ここにいるというわけさ。ああ、ファルコナー------まあ、いいか。たぶんあすでも平気だろう」
(角川・p44) 
 


…めんどくさかったあああ!!!!

うーん、角川が思いのほかやさしい文章ですね。
しかし、他の三冊とちがい、ですます調でないところに少々違和感。新しいエラリーですね。
でも個人的には、エラリーの性格的にはややクドめの創元(新旧ともに)のが一番あってる気がしないでもない。ていうか、創元旧のひらがなの多さに驚いた。え、こんなにひらがな…?
あとこれは翻訳関係ない話だけど、親父さんの財布あてにして職場に電話すんのってどうなのよエラリー…。

ローマ帽子はほかにも、やっぱり巡査に戻った方がいいだろうか的な愚痴を言うフリント(一度降格経験あり)とか、リッターがあられもない格好のご婦人を見つけてしまい、このままではカミさんに離婚されてしまうと(本作では数少ないおちゃらけ系のセリフ)警視に指示を聞く部長さんとか、警視にあたまをなぜられながらのジューナ「警視のようになりたい」宣言とか(ここまでシーンは順不同)、みどころたくさんですよ!


ああもう時間ない!
そして原稿はできてない…なんかもうできなくてもいいかなって思い始めてきた…。
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三月やよい
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女性
自己紹介:
行動がついていかない春生まれ。
北海道出身。結婚後福島県→宮城県。
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