はい、というわけで。
↑の「優等生漫画」が象徴するように、ウチの漫画は、たしかに暴力描写や性描写はあんまりありません。
あんまり事件おきません。
悪人がいないとよく言われます。
色気が無いといわれます。
自分でもそう思います。
なぜか。
描きたくないからです。
だってイヤだよそういうの。つらいもん。
(厳密に言うと、暴力描写と性描写で、描きたくない理由は違うんだけど、そこまでは書きません)
で、表現の自由って、「書く(描く)自由」はもちろんだけど、「書かない(描かない)自由」もあると思うんだ。
だから、私は描かない。乱暴はしない。漫画の中くらい幸せな世界にさせてよ。男女間も友情は成立する。うちはそういうのがいい。
そういうスタンスで描いてました。今も多少そういうスタンスで描いてます。
が、それだけだと、どうしても行き詰る。それもわかるんだ。
「どんなにつらいことがあっても、人は未来に向かって立ち上がる」というテーマで描きたい、と思ったら、「どんなにつらいこと」をちゃんと描かなきゃいけない。
それは、つらいからってお茶を濁して描いてはいけないわけで。
でも、描けない。
単純に技術の問題もあるけど、「自分が描きたくないことを描く」というのがしんどい。
主人公以前に、作者がその厳しさに立ち向かえない。
だから、昔むかしに描いてた探偵のシリーズは、ギャグにして、一応犯罪もあるけど、ビックリするほどリアリティがないつくりになってました。
でも、もう目をそむけてはいけないのだなあ。
そんな風に感じた時期がありました。
で、漫研の会誌に実験的に描いたら描いたで、「朝に読んだら一日立ち直れない害のある漫画」とか言われたり(実話です。万が一ここ読んでたら、ごめんね無断で引用して)。
…今手もとにその画像がないもんで、画像は出せません。超鬱漫画でした。しかも人が白骨化して亡くなります。
どうすればいいんだ。つらいから描きたくない。でも、描かなきゃいけない。
あまりいい印象は与えない。読者にまでつらい思いをさせてしまう。でも、それを抜くと味気ないのもわかる。
そういうときに描き始めたのが「狩谷さんの相談日誌(旧)」シリーズでした。
今のところ、自作の漫画では一番、自分の脳内検閲がゆるいんです。
なので、それまではあんまり描いたことないような描写も所々出てきます。それは今も変わってない・・・はず(汗)。
そんなこんなで、実はこれが自分の漫画にまともに出そうとした犯罪者の最初…かな?
没ネームです。鉛筆書きで見開きになってます。実は旧シリーズ第2話になる予定でした。
男が刃物向けてます。
狩谷さん没ネーム(別ウインドウが開きます)
…没にしました。
読んだら理由は一目瞭然かと思います。
うそ臭いです。いや、いないだろうこんな奴。
そして、実際これを描いてた頃、本当に小学校で殺傷事件が起こりました。(ご冥福とお見舞い申し上げます)
現実は、そんな甘いことは全然ありませんでした。ひどいです。あんまりです。
そして、自分のぬるさも思い知りました。やっぱり描きたくないよこんなの。
これで一度、また事件とか悪人とかの描写から遠ざかったのですが、やっぱり避けて通れないので、頑張って描いてみたのが、こちら。
誘拐犯です。
旧シリーズ「狩谷さんの相談日誌・4 青影ミラー」から一部(別ウインドウが開きます)
…まあ、こちらもあんまりリアリティない。
ちなみに、この後女の子達は助かって、誘拐犯は捕まります。
だもんで、流血描写、というのは本当にないわけで。
自分自身、血を見るの本当にイヤだもんで。
(変な話ですが、前述のギャグマンがでは描いてました。ギャグだといいのか自分)
やっと見つけてきたのが、これ。一応痛そうです。
後半は、女性の裸も出てきます。これが唯一の性的描写?(←調べてみたら、結構裸は描いてた。意外だ。あとで書きます)
旧シリーズ「狩谷さんの相談日誌・5 味方のスキマ」から、冒頭とラスト
…現シリーズの「ロング・ショートサーキット」を思い出した方が、いるでしょうかね(汗)。登場人物は一部同じですが別の話です。
この漫画、暴力描写とかいう以外に、自分の中のドロドロと暗い部分が存分に出ている漫画になってしまって、本にして出していいのかどうかすごく悩んだんですが、結果的に「面白い」という感想を一番頂きました(苦笑)。
やっぱり、こういうの、避けて通れないんだなあ。でも、本当にしんどかった。今思い出しても泣ける。
で、これのちょっと前に描いたネームがあります。
以前「うちの師匠が日本一!」という漫画に描いて、今、「モザイクの魔術師」という小説で書いているシリーズの、いわばパイロットフィルム版です。
結局、その重さに耐え切れずに私がつぶれて、未完成になりました。
でも、今まで描いた中では、たぶん一番の悪役はこの人だと思うので、色々と出していいんだかな内容ですが、上げてみます。
鉛筆書きな上、紙が黄ばんで読みにくいです。
その上絵を省略しすぎてたので、所々デジタルで描き足してます。
殺人犯…自殺幇助、かな? …、作中の当時のセリフだとわかりにくいですが、平たく言うと人とって食っちゃう人が出てます。最終的に、人が亡くなってます。
「モザイクの魔術師」パイロット版(別ウインドウで出ます。ちょっと重いかも)
…どう、ですかね。自分ではこの辺が限界でしたが、一般的な漫画では珍しくないかもしれませんね。
この中の、糸目の人ですが、はい、「うちの師匠が~」にもちょろっと出てます。今でもブログにときどき落書きで出てますね。
そのくらい描きたかった人だったんですが、正直今でもこの物語は決着がつけられない。
そんくらい重い。
その反動で、「うちの師匠が日本一!」は、全く事件らしい事件がおきない漫画になりました。
(事故や災害はおきてるけど…)
そして、かなりの低評価をいただきました(苦笑)。
でも、どうしてもケリをつけたかった。登場人物たちに申し訳が立たない。
主人公の師匠やかりんには、私みたいなヘタレになってほしくない。
というわけで、そいういのもあって、小説モドキ書いてます。
小説ではこの人、本当に全然設定変わっちゃったけど、まあ他の人たちも色々変わっちゃったし。
今は本当にスタミナなくて、創作活動もままならないけど、必死で考えて考えて、がんばって少しづつですが、あのときの決着をつけられそうな気がします。そうありたい。
で、今の作品をザッと見て。
…うん、なんていうか。あれだ。こうして以前のを見比べると、逃げ入ってる、ような。
今の狩谷さんシリーズだけ見ても、万引きとか女性の裸の胸とか(「マジメ織りの目」)廊下に広がる血とか刃物がザクッとか、体になんか刺さったりとか、子どもを殴る前や殴った後とか、ひっかいたところとか(「キル≠キレ」)教師がその言葉遣いはどうよとか、自殺をほのめかしてたりとか(「ロング・ショートサーキット」)あります。ありますけど。
なんていうか、直接的な表現は避けてるんですね。ハッキリ描いてない。
流血も、もののたとえ的な表現のコマのなかにあるだけだし、殴ってるシーンもその瞬間は描いてない。体に刺さってるのもファンタジーの次元のものなので、血は出ない。比ゆを直訳した画像、みたいな感じ。
あれこれ見たら、ネタバレなところが多かったので、とりあえず例として、「キル≠キレ」から。
切れてない
だからといって、表現が巧みになった、という感じはしない。
てか、逆に下手になった、と思った。
暴力的な描写を描けば一人前、というわけではないし、そう言うつもりも全然ないです。
ただ、どう描くか、を検討したうえでのこの描写、ではない気がする。
その辺の逃げてる感じが読者にも伝わって、この現状になってるかもしれないと今ちょっと思った。
「キル≠キレ」も、「ロング・ショートサーキット」も、かなりしんどい思いして描いたけど、必要ないところでムダにしんどがってたんかなあ。絵もヘタになってる気がするし。
昔から逃げる傾向はあったけど、どこで道間違えたんだろう。
だからうちは人に乞われるままに作品の感想を送るだけの要員としてしか見られないんだろうか。
もううち、ちゃんと描けんのかなあ。みんなはもうとっくの昔にそっぽを向いている。
はあ。泣きそう。
女性の裸に関しては…そうですね。
昔も一度ほぼ全身描いてるんですが、そのときもお化けだったんですよ。↑のも、村森さん(お化け)なわけで…今のところ、「人間の」女性のヌードはない、かも(苦笑)。
あと、これは昔、男の水着姿を描いたときにも言われて、でも未だに直らないんですが、乳首を描けません。なんか、描けないんです。この辺は新たな課題…にしたくないけど、そのうち向き合わないといけないんだろうなあ。
単純に「性別」というテーマだけなら、「夢への扉」とか、描いてはるんですけど。一般的にはぬるいかと。
小説「モザイクの魔術師」一巻には、チェリーボーイとか言葉は出てくるけどさ。その程度です。
上手く描けません。つらいことは描きたくありません。
だから普段は描きません。
でも、なんていうか、描かなきゃいけないんです。本当に描きたいもののために。
そういう漫画だ、と思うときがあるのです。
一応、それに挑戦はしているのです。
どうかこれからも、挑戦させてください。
表現する自由、しない自由、挑戦する自由。
自分はあんまり暴力描写も性描写もできれば描きたくないけど、上のどれかの自由を制限するということは、他の自由も制限することだと思います。
だから、表現の自由はあったほうがいいと思う。あって欲しいと思う。なきゃいけないと思う。
そんなこんなで、なんかうまくまとまらなかった(汗)。
ココまで読んだ方、いらっしゃるでしょうか。いたら、ありがとうございました。お疲れ様です。
なにかありましたら、メールフォームやコメントなどでよろしくお願いいたします。
1. 無題
ひとつの方法は、取材することだと思いますが・・・たとえば、犯罪被害などはルポも多いですよね。戦争のルポも多い。捜せばすぐ見つかる。
その上で、どういう表現にするのか、自分で決めるしかない?
どこが落としどころなのか、婉曲表現なのか、直接的な表現なのか。
都条例については、ホントは、ハガキなどを都議に出してアピールするのが最も効果があるようです。僕も都議・衆院議員あわせて、30通ほどハガキ出しました。
このあたりを読んでください〜
http://angels-pathway.clanteam.com/What_to_do_101123.html