(2017.4/24 千歳舞の項に追記しました)
自分がふがいない。
こんにちは三月です。
大臣の学芸員に対する発言に関しては色々不明な点もあるので言及は避けますが、博物館好きにもかかわらず、学芸員のなんたるかを忘れつつある自分に情けなさを感じております。
ブログ記事もアップに数日かかるという始末ですよ…。
さて。
先日の、4月の第三日曜日。
富谷市の鹿島天足別(かしまあまたりわけ)神社にて市の無形文化財「榊流永代神楽(さかきりゅうえいだいかぐら)」が奉納されると知りまして、行ってみることにしました。
榊流永代神楽https://www.tomiya-city.miyagi.jp/soshiki/syogaigakusyu/machishitei3.html(…なんだよ、情報量こそ少な目だけど、富谷市のホームページの方が当日会場に置いてあったチラシより正確じゃねーか…どういうことだよ…(後述))
榊流、とうたってはいますが、神楽の形としては榊流でもないようで、十二座神楽の中の仙台神楽・丹波神楽系、というものになるようです。十二座神楽は仙台市~宮城南部にかけて分布している神楽の形態で、基本12の演目があり、声を立てずに舞います。声は立てませんが太鼓や笛の演奏はつきます。
榊流永代神楽は、その十二座神楽の北限になります。昔は14演目あったらしいですが、二つほど絶えてしまったそうです。
当日朝、寝坊してしまい、カーナビのタッチ機能が誤作動しまくり、さらに神社近くの駐車場を見落とし、神社の階段がワイルド(自然石をそのまま使ってるかのような階段)という連続コンボで、開始時間の10時半には間に合いませんでしたorz
私が着いたころには「奉幣(ほうへい)舞」が行われていました。
なのですが、まずは神社にごあいさつ。
↑現役の横に置かれていた、先代と思しき狛犬。前片足をちょっと下げてる、いわゆる「仙台狛犬」のかたちでカワイイ。相方は見当たりませんでした。
そんなこんなでご挨拶が終わったころには奉幣舞も終わってまして、次の「小弓(こゆみ)舞」が始まってるのでした。
四方に矢を構えて放つそぶりをして(一つの方向にだけは実際に放ちます)邪気を払う舞です。
社務所の前の台にプリントが置いてありました。神社についての1枚、神楽についての1枚、神楽の中の「諏訪舞」「千歳(せんざい)舞」についての1枚、の計3枚。もちろん全種類ちょうだいいたしました。
これは基本全部の舞でそうなんですが、後半、一度神前(背後にチラと写ってるところ。丸いのは鏡のようでした)にお参りした後、片手に十二鈴を持っての舞になります。プリントには「一座二節の所作で
濫觴舞と曲舞」と書かれてるのがそのことなのかもですが、検索してもちょっと詳しいことが出てこないのでよくわからずです。見てたら、コーラをいただきました。来られた方々にはたびたび飲み物が配られてました。ありがとうございます。
続いて「剣舞」。大久米命(おおくめのみこと)が舞います。
申し訳ない、画面が暗くてうまく写ってませんでした…。
終了後、また舞台のめくりが変わりました。
「龍宮」
…ん? プリントにそんな名前はありませんが…?
現れたのは釣竿をもった舞手。はてさて、「釣舞」でありましょうか…?
しかし何か釣れるようでもなく。
しまいには獅子が現れて、一人乗せて去っていく。
…んんん?? とりあえず「釣舞」ではない。釣れてないし。
聞こえた会話によると、このプリントは神社の方が作ったものではないらしい。そういやよく見たら、神楽についてのプリントは「富谷町」になってる。去年「富谷市」になったので、作られたのも昔っぽい。(ほかの2枚は平成29年の奉納日の日付が入っていたし製作者らしい名前もあるので、作ったのは別の人っぽい)
だいたい、プリントの神楽演目には番号が振ってあるんですが、奉幣舞は2、小弓舞は6、剣舞は3、と、番号順に行われてもいない。どういうこっちゃ。
(ちなみに1は「御子(みこ)舞」という4人の御子が舞台を清めるために舞うもの、になってました)
…うーん、あらすじ的にはこの13番目の「海津宮(うみつみや)舞」というのがそれっぽい。いわゆる海幸彦・山幸彦の話で、獅子は海の波を表してたそう。
ちなみに、この獅子さんはその後、客席側に降りて来まして、頭を噛んでくれます。地元の方々が獅子の口(中の人の手がある)になにか(ご祝儀かな?)入れながら噛んでもらってました。私も噛んでもらいましたが、なにかお包みした方がよかったのかしら、とちょっと気になっております。
このころにはだいぶ周りも見えて来まして、非常にかつ明確に「地元の集まり」だなあ、というゆるやか(ですが私自身は超アウェー)な空気も感じられるようになってきておりました。
親子連れも多いです。ていうか、多くなってきました。
さてさて。次は「種蒔(たねまき)舞」。平たく言うと荒れ地を耕して種をまく、豊作祈願舞です。
撒かれる種もとい飴ちゃん!
写真には撮れませんでしたが、舞台横の社務所からも飴の追撃が来てて、なかなかにすさまじく蒔かれます。私もいただきました。
撮影と飴獲得のどっちを優先しようかで地味にテンパってる間に終わってしまい、ふと気づくと人が減った気が。時計を見るとお昼。うむむ、飴まきを狙ってきてたのかな。順番が今一つわからないでいましたが、ひょっとして、種蒔舞はこのあたりにやるよとか例年決まってるのかしらね。
この後「諏訪舞」。
タケミカヅチノミコトとタケミナカタノミコトの力比べ神事の舞です。ちょっとコミカル風。
終了後、30分ほどお昼休憩とのこと。
しかし神社の近くに食べるところはない。しまったな、なんも持ってきてないやと思ってたら、神社の方からお声をかけていただき。
…ええとですね、お昼をご相伴にあずかりました。私ただの観光客ですが…いいんでしょうか! しかも神社の方々と一緒に!
恐縮しながらいただいてまいりました…! 本当にごちそうさまでした!
余ったら捨ててしまうので、とのことで、お餅もいただきました。本当にありがとうございます…っ!
実際、こんな千載一遇の機会に「演目の順番は決まってるのですか」とか「龍宮は海津宮舞であってるんでしょうか」とか「小弓舞で唯一実際に放たれた方向は決まってるのでしょうか」とか「演目の中にヤマタノオロチが出てくる舞があります(後述)が、富谷の十の宮伝説(大蛇が人間の娘と恋に落ちるけど正体ばれて十に裂かれてそれぞれお宮に祀られる話)とは何か関係が」とかの疑問を一切聞かなかったところが私のヘタレなところでございます…。
でも「雨でも雪でも4月の第三日曜日には神楽奉納」とか「最近はやりの御朱印(こちらの神社にもあるそうです)」とか「神楽がYouTubeにアップされてる(検索してみたら確かにあった。気になる方はチェックしてみてくださいませ)」の話とか聞けて本当にありがたかったし歴史尊いし、学芸員だったらそれをいいことに更に聞いたり撮ったりもしただろうに、オタオタしっぱなしだった自分が悔やまれてなりません。
さて午後です。
「釣舞」から始まりました。
釣です。何か途中アクシデントがあったっぽい(魚が落ちた?)けど大丈夫。
続いて「鉾舞」。
よく御神輿の先導に歩いてたりする猿田彦命(サルタヒコノミコト)が鉾で舞います。子供から「テングだー」の声も。実際、猿田彦は天狗面です。
「千歳(せんざい)舞」。
構ってちゃんな鬼が調子こきすぎて大国主命(鍾馗)に懲らしめられる舞。プリントでは、まずは自力でがんばれよと村人に相撲を取らせるエピソードが入ってますが、見たところそんな感じなく速攻鍾馗様に懲らしめられてた気がします。(写真奥に写ってるのは、ちょっかいかけられる八乙女(小さい女の子))
(4/24追記:関係者の方から、村人役の方が病欠されてたため、一部をアレンジして行われていた、というお話をいただきました。プリントと違うのはそのためだったようです)
「追儺(ついな)舞」。
豆は実際にはまかれてなかったよう…な気がする。ここでも調子こいてしまった鬼は退治されてしまいます。この途中でデジカメの電池が切れてしまい、テンパりながらスマホ準備してたので記憶があいまいです…。
いよいよ、ラストと声がかかった「
簸川上(ひのかわかみ)」。
プリントでは「肥川上舞」と表記されてますが、舞台のめくりでは先の表記。龍宮といいこれといい、富谷市のホームページの方が記述が正確であります。
太鼓や笛の演奏の方々は御簾の向こうに隠れてたんですが、この舞のときだけは御簾があげられて見えるようになってます。
さて簸川上舞、先ほどちらっと話しました、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する舞です。奥に写ってるのはいけにえに選ばれてしまった櫛稲田姫(くしなだひめ)です。
実はこの舞、十二座神楽の中では珍しい部類だそうで。先日偶然知りましたが、十二座神楽は獅子舞があるようなんですが、丹波神楽系だけは蛇の舞があって獅子は(獅子の役は)出ないのだそうです。
さらにちなみにですが、以前仙台駅で見た「塩竃神楽」、あれも十二座神楽(の北限)の一つですが、そのとき行われていた演目は獅子舞でした。あれは伊勢の太神楽の影響も受けてるので獅子舞があるんでしょうね。
これにて全12演目(だったようなので、やっぱり自分は最初の演目を見落としてしまったということだろう…くっ)。
そして終幕。最後に舞手のかたも演奏のかたもみなさま舞台でご挨拶。
…のあと、すかさずお片付けへ。これは神社の行事という感がありました。
社務所で改めて今日ごちそうになったことなどお礼を言って帰りました。本当にありがとうございました。
長くなりました。2回くらいに分けてアップしたらよかったかもですね(苦笑)。
…しかし、写真が下手だな自分よ…。
「また見に来て」と何度か言われました。見に余る光栄でございます。
その時にまだ宮城にいたなら、4月の第三日曜日にまたはせ参じたく思う私でございます。
2. 取り急ぎ。申し訳ありません